陸王/池井戸潤 サラリーマンが読んで考えたこと

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陸王はTBSの日曜劇場でドラマ化もされていた、池井戸潤さんの小説です。

舞台となるのは小さな老舗足袋メーカーの「こはぜ屋」で、生き残りをかけた新規事業として、競合ひしめくランニングシューズの業界に殴りこむストーリーです。

こちらの記事では、原作を読んだ感想をまとめています。小説はフィクションのため、技術の細かな部分に疑問を抱くこともあるとは思いますが、私と同じ技術系サラリーマンの方には刺さる内容ではないでしょうか。

読んだ経緯

先輩と話しているときに小説の「陸王」が話題に挙がりました。社員としての心構えや、今後の価値の源泉をどうやって作っていくかなど、働く中で考えておかなければいけないことをなんとなく掴むきっかけになったと仰っていました。話を聞くまで、私は「昔ドラマ化されてたな…」ぐらいの印象でしたが、紹介されてしまうとつい気になってしまい読み始めました。

印象的なキャラクター

それぞれ個性的な登場人物ですが、印象に残ったのは2人です。1人目はカリスマシューフィッター(陸上選手に付く、靴を提供する企業の専門家)の村野さん、もう一人はこはぜ屋社長の息子である大地です。

村野さんの「選手第一の気持ち」

新入社員研修と営業実習で「お客様大事」の精神を学びました。

そう考えておりましたが、この本を読むと全然足りていないことに気が付きます。その考え方を実践しようとすると、終わりがないことが分かるからです。

今私なりに解釈すると、「相手より相手のことを知っている」状態を目指すことだと思っています。これは小説中の村野さんが、自分の立場を考えずに「選手を中心に仕事している」ことからも読み取れます。会社の新製品を売り込むのではなく、あくまで選手が本当に必要としている物を探り、提案して履いてもらうことが何よりという心構えです。

現在の仕事は、直接製品に関わることはほとんどありません。しかし、弊社を支えて下さっているお客様は誰なのか、どんな人なのかを頭に入れることで、先行して解決策を提案できるようにしていかないと長く付き合っては貰えないでしょう。

大地の「成長」

大地は、就職に失敗した後に父の経営する「こはぜ屋」で渋々働くことになります。はじめの勤務態度は褒められるようなものではありませんでしたが、ある人物のそばで一心に仕事をすることで楽しさを見つけ、徐々に変わっていきます。

熱中して一生懸命やっていると、自分のやっていることがどういう意味を持って会社に貢献しているのかが分かるようになっていきます。そして、会社の事情を自分事として捉えられることで組織として自分がやらなければいけないことを考えるようになります。

この状態になってしまえば強いですね。自分の意識が中心にないので、会社にとって重要な仕事であれば、それ自体がモチベーションになります。

このことを考えると、新入社員がモチベーションを保ちにくい理由がなんとなく分かります。会社の状況を何も知らないために、どうやって自分の仕事が社会に役立っているのか分かりません。それに、最初は事務処理のような内容が多く、誰でもいい仕事なのに…みたいな気持ちが芽生えます。そこでやる気を削がれ、転職を考えるのは少し勿体ないように思います。

「知れば知るほど面白い」ということを分かっていても、一般的に「知らなければ知らないほどつまらない」という逆の意味は考えません。守備範囲以外は無関心を通す人は多いと思います。

私もこのことを心に留めて仕事に打ち込みます。ただ、本当に合わない人しかいない職場であれば転職した方が良いと思います。あくまで、精神的なダメージの無い人は考えてみると良いのでは、という内容ですので。

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